法定更新の場合でも更新料を取れるのか?

 本ページでは、賃貸借契約が法定更新された場合でも、しっかりと更新料を確保する方法を検証してみます。

 

 建物の賃貸借契約は、通常2年ないし3年の契約期間が定められていますが、契約をした当時の状況とは変更が生じ、建物の建て替えをしたい場合や賃借人との関係が悪化してしまった場合には、賃貸人としては、契約を更新せずに建物の明け渡しを求めることになります。

 もっとも、このような場合、賃借人としては、契約を更新して引き続き建物を利用したいと考えており、お互いの利害が対立することが少なくないうえ、賃貸人が、更新を拒絶するためには、正当な事由が要求されており、簡単に更新拒絶が認められるものでもありません。

 また、賃貸人と賃借人との間で、契約の更新に関する協議がまとまらない場合でも、賃貸借契約は法定更新されてしまいます(借地借家法第26条第1項)。

 では、賃貸借契約が更新されてしまった以上、賃借人に更新料を請求することができるかというと、更新料の支払いすら争われてしまう場合があります。

 

 そもそも、更新料の支払義務については、従前、消費者である借主の利益を一方的に害するものであることから、消費者契約法第10条に違反し無効であると争われていましたが、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載されており、その金額が高額に過ぎるものでなければ更新料の支払を定めた条項も有効と判断されています(最判平成23年7月15日)。

 もっとも、更新料の支払を定めた条項が有効であるとしても、当該条項が法定更新の場合にも適用されるか否かは、別途問題となります。

 

 すなわち、賃貸借契約の更新には、お互いが更新することを合意する「合意更新」とお互いの合意がない場合であっても借地借家法に基づき当然に契約が更新される「法定更新」があります。

 そして、賃貸借契約書において、例えば次のような更新条項が定められた場合、合意更新と法定更新の場合で結論が異なります。

「賃貸借期間満了の場合は、貸主と借主が協議の上この契約を更新することができる。前項によりこの契約を更新する場合には、乙は甲に対し更新後の賃料の1か月分の更新料を支払うものとする。」

 合意更新の場合には、上記条項に基づき更新料を請求することができます。

 これに対し、法定更新の場合には、上記条項は、お互いが協議の上で契約を更新する場合を対象としており、合意更新の場合のほか、法定更新の場合にも更新料を支払う合意をしたものとは認められないことから、更新料の請求をすることはできません(東京地判平成23年4月27日)。

 

 このように、法定更新となる場合も想定して更新条項を定めておかないと、更新拒絶が認められないばかりか、更新料すら支払ってもらえなくなるリスクがあります。

 そこで、更新条項については、合意更新か法定更新かを問わず、いずれの場合であっても更新料を請求することができるよう工夫しておく必要があります。

 ポイントとしては、次のように合意更新の場合に限定せず、更新料を支払うことを規定しておくことです。

「本契約が合意により更新された場合、もしくは法定更新された場合(法定更新後は以後2年ごと)、借主は貸主に対し、賃料1か月分の更新料を支払うものとする。」

 もっとも、法定更新がなされた場合、その後の契約期間は期間の定めのない借家契約となります(借地借家法第26条第1項)ので、その後も定期的に更新料を支払う旨の合意の有効性について明確に判断した裁判例は見受けられず、いまだ争われる余地が残っていることには留意する必要があります。

 賃貸人としては、少しでもリスクを軽減する方法を検討したうえで、不測の損害を被らないようにしておきましょう。